2018年4月7日土曜日

ラム酒雑感

ファーマータナカの酒場放浪記(ラム酒雑感)。
馴染みの店のバーテンダーに常連客、そしてお気に入りの銘柄とくれば、その安心感の中で澱みがちな精神は、確かに解放されたかに見える。
しかし一方で、見知らぬバーの扉を開けたい衝動に駆られることがある。
今更恋でもないだろうに、初めてのドアに手をかける時、何かに出逢えそうな緊張感とときめきに、幾分背筋が伸びる(出る時は背筋がどうであるかも含めて、記憶がない場合がある)。
元来お酒なら何でも持って来いなのだが、その中でもラムは好んで嗜む。
今日の出逢いは、「サカパ23」(グアテマラ産)と「バルバンコート」( ハイチ産)のラム。
中米を旅行した時、グアテマラに地元の人が常飲するロン(ron)というスピリッツがあるというので、早速飲んでみたが、なるほど ron はスペイン語でラム(rum)の事、安いラム酒だったのだ。
グアテマラコーヒーと同じく、サカパは高級ラムで、多分地元の人の口には入らないという厳しい現実もあるが、それはさておき、ここでグアテマラに出逢えたのは喜ばしいではないか。
一方のハイチ(かってフランス領)のラムには rhum の表記、こちらはフランス語で同じくラムのことだ。
となれば、昔愛飲した「ロンリコ151」(プエルトリコ産、ロリコンではない、151とはUSプルーフでアルコール度数に換算するとジャスト50%の75.5°となる)は、ronrico のスペルだがら、「豊かで美味しい(rico)ラム」という意味だったのか。
ラムの原料は砂糖キビ(そのもの、あるいは搾りカスの廃糖蜜)だが、ラム発祥の地とされるカリブ海の島々にはサトウキビは自生していない。
持ち込んだはヨーロッパ人で、いわゆる三角貿易(砂糖・ラム酒・奴隷)とプランテーション農業で暴利を貪り、あらん限りの侵略と虐殺をもたらした。
旅行で足を延ばしたキューバでは「ハバナクラブ」と再会を果たしたし、「フロリディータ」でヘミングウェイの愛したフローズンダイキリ(砂糖抜きでグレープフルーツジュースが加わるという)が飲めたのも嬉しい。
そういえば昔飲んだ「クレマン」というラムは、同じくここカリブ海にあるフランス海外県マルティニク島からはるばる来ていたものだったのか。
砂糖キビさえあればどこでもラム酒は作れる、遠くアフリカ大陸の東側モーリシャス島もラムの一大産地、そこのラムを粋がって飲んでいたのも懐かしく想い出す。
さて、今回も色気無し味気無し、期待される艶話は披露できないが、日本の地方都市の小さなバーの片隅からでも、ほろ酔えば、世界を駆け巡ることができるのだ。
あとは飛び過ぎないこと肝心だ…。



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