2019年3月29日金曜日

今日を生きよう

ファーマータナカの My Favorite Old GS Songs。
卒業シーズンが過ぎ、もうじき桜咲く入学シーズンとなる。
「今日を生きよう」
高校の卒業アルバムの寄せ書きに記した言葉を想い出す。
精一杯今を生きようといった前向きで真面目な心持ちではなく、半分が冗談と、劣等生の俺にはどうせ輝く未来なんてありゃーしない、幾分やけっぱちな捻くれ者、せいぜい女性にでもに現を抜かしていようか、てな心境だったと思う。
隣には、堅実な秀才だったT氏の「明日に生きよう」が見える。


もともと「今日を生きよう」は、ザ・テンプターズのデビューシングル B 面の曲で、リードボーカルの歌唱がカバーで B 面というのもちょっとユニーク。
A 面はリーダー松崎由治作詞作曲ボーカルの「忘れ得ぬ君」でセンチメンタルなロック、これはこれで結構気に入っていた。
ああ 恋があるなら 何もいらない
おまえがいれば 何もいらない
昨日のことも 明日のことも
悩むことなく 今ひととき
愛し愛され 今日を生きよう 


本当のルーツは、アメリカ合衆国のロック・バンド、グラス・ルーツ(The Grass Roots)のヒット曲、「 Let's Live for Today 」だ。
When I think of all the worries
That people seem to find
And how they're in a hurry
To complicate their minds
By chasing after money
And dreams that can't come true
I'm glad that we are different
We've better things to do
May others plan their future
I'm busy loving you
自分のことで悩んでいると 
他人のことが目につくんだ
彼らはせっせと急いで 
自分たちを混乱させている
お金ばかりを追いかけて
そして決して叶わない夢も
僕らが彼らとは違う人間でうれしいよ
僕らには他にすることがあるからね
他の人たちは未来設計にいそしんでいるけど  
僕は君を愛することに忙しいんだ


ジュリー(ザ・タイガース沢田研二)のブレイクで、これはいけるとふんだ日本のポピュラー音楽界は、ザ・タイガースとザ・テンプターズを双璧に、アイドルチックなコスチュームを纏わせ、歌いたくない楽曲を歌わせて、商業主義による GS という一大ムーブメントを巻き起こす。
成り立ちからこうした矛盾を内包していた GS ブームは、数年であっけなく瓦解することになる。
晩年は彼自身のルーツであるブルース等、歌いたい歌を歌っていたようで、アウトローなその人生はまさにずっと「今日を生き」てきたのだろう。
萩原健一(享年68歳)、早過ぎる訃報、合掌。

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