2019年4月6日土曜日

白秋

「青春朱夏白秋玄冬」、季節には色がある、とは中国五行説に基づく考え方。
それこそ青春の頃には、観光地の博物館や美術館或いは○○記念館とか面倒臭いだけで、大した感慨も無く通り過ぎていた。
馬齢を重ねたせいか、このところそれら遺された物、そしてその人となりが妙に引っかかるようになった。
例えば先日訪れた、「北原白秋生家」、お遊びで詩歌擬きの何篇かでも書く身としては、当然白秋のせめて通り一遍の事位知っていてもおかしくないはずだ。
ところが実際は余りにも有名すぎてうっちゃっており、漫然と優等生的な童謡や詩歌のイメージを持っているだけで、その実何も知らなかった事に気づかされる。
一方で最近は Wikipedia とか便利なものがあって(それはそれで問題でもあるのだが)、にわか仕込の情報を得ることもできる。
「北原白秋」、これも何かの縁、この際駆け足で見ておく。
・県立伝習館中学(現・福岡県立伝習館高等学校)では成績下落のため落第、校内新聞では生徒を動員して学校側と対立。
・大火によって北原家の酒蔵全焼、又実家破産。
・詩「おかる勘平」は風俗紊乱にあたるとされ、発禁処分。
・夫と別居中の人妻俊子と恋に落ち、姦通罪により告訴され拘置、同業者から「文芸の汚辱者」 との痛烈な誹りを受けるも結婚、しかし父母と俊子との折り合い悪く離婚。
・詩人の江口章子と結婚、彼女曰く「痛々しい大きな赤ん坊」、その章子は胸を病み、その後行方をくらまし、白秋は不貞を疑い離婚。
・3人目佐藤菊子と結婚。
・関東大震災により会社罹災、住宅も半壊。
・著名な作家仲間とは何人とも対立、反発、絶交。
・糖尿病および腎臓病の合併症のために眼底出血、視力ほとんど喪失。
・国家主義への傾倒。
・結局糖尿病と腎臓病のため自宅で逝去、57歳。
自由奔放な天才詩人白秋は、私生活ではヘビースモーカーで酒に溺れ、不貞をはたらくトンデモ男だったということで、今頃になって妙に親近感。
「白金之独楽」から一篇を載せておく、原文はカタカナ詩。
二人で居れど まだ淋し
一人になったら なほ淋し
真実 二人は 遣る瀬(やるせ)無し
真実 一人は 堪え難し



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