泥酔
ファーマータナカの本棚。
本音を言えば、酒量と失態と才能に於いて、彼等と同等、否、勝るとも劣らないとさえ思っている。
例えば無頼を気取る太宰治は、泥酔しても文豪だ。
中原中也、檀一雄、横溝正史、小林秀雄、平塚らいてう、大伴旅人、小島武夫(雀士)、梶原一騎(漫画原作家)等も泥酔組だった。
彼等は、浮気をしても悲恋だ。
夢や計画が頓挫しても非業の死だ。
約束を破っても、借金を踏み倒しても、暴力を振り翳しても、夜逃げをしても、何処で小便しても何処でゲロっても何処で眼を覚ましても…ああもう何でもアリだ。
片やブァーマータナカが泥酔すれば、現時点では、箸にも棒にもかからぬ単なる大酔っ払い(小トラ?)のひとりだと統計処理される。
そもそも生きてるだけではた迷惑だし、淡い純愛でさえ色狂いだし、死ねば当然無駄死にだ。
故に近々集大成として、「人生で大切なことは泥酔で無くした」を上梓するつもりだ。
だが泥酔のため、無くしたものを綺麗さっぱり健忘していて一行も書けないという、才能ある者だけが直面する深くて暗い矛盾の酒の河が、目の前には滔々と横たわっている。
その現実を打破するため、今日も又苦悩にまみれ、河を渡ろうとして(又泥酔して)いることなんぞ、凡人達には解るまい。
ついでに、下らん事だけは延々と書ける才能が、うとましい。
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