天城越え
ファーマータナカの My Favorite Songs「天城越え」。
紅白でも10回以上歌われている、おどろおどろしい情念の世界を歌う名曲。
趣向を変えて、「長谷川きよし」で。
椎名林檎と競演するなど健在、1970年代渋谷のライブハウスで聴いた迫力は不変だ。
今回は歌詞にも注目してみよう。
自傷シンガーソングライター・ファーマータナカの分析によれば、「名詞の羅列」は、作詞におけるよくある表現手法ではある。
しかし、名詞で感情を表現するには、卓越した感性と選択眼が必要だ。
他の例示も含めて、改めて抜粋しておくので、よーく噛みしめて欲しい。
寝乱れて 隠れ宿 九十九折り 浄蓮の滝
わさび沢 隠れ径 小夜時雨 寒天橋
走り水 迷い恋 風の群れ 天城隧道
【天城越え】(作詞:吉岡治)
白樺 青空 南風
雪どけ せせらぎ 丸木橋
山吹 朝霧 水車小屋【 北国の春 】(作詞:いではく)
羅列とまではいかないが類似の処方。
お前が十七 俺十九
たとえば男は あほう鳥
たとえば女は 忘れ貝
【 黒の舟唄 】(作詞:能吉利人)
一押し。
カラ松 こめつが 針葉樹林
かもしか 月の輪熊 走る稜線
柿の木 赤土畑 広がる水田
かわやなぎ 青い水 流れる河川
かるかや かやつり草 積乱雲
からすうり 月見草 風渡る草原
かもめどり 黒松 岩礁海岸
かつおどり うみつばめ うねる水平線
【 わが大地のうた 】(作詞:笠木透)
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