2016年11月17日木曜日

今朝の秋


北野シネマ館。

「今朝の秋」(1987年)はNHKTVプレミアムシネマのアーカイブ作品で、山田太一監督、笠智衆・杉村春子他豪華キャスティングにより、離婚した老夫婦、離婚決意中の息子夫婦とその娘が、息子の末期がんをきっかけに集い、家族の絆の再生と、日本の高齢化社会が抱える問題をもあらためて問う。
プラハ国際テレビ祭大賞、第14回放送文化基金賞本賞、毎日芸術賞を受賞している。

なお「今朝の秋」とは秋の季語で立秋のことで、新暦の八月七日頃のことだ。

個人的には、亡くなった息子の葬儀を終えて、別れた母親が東京に帰る日のシ-ン。
ひとり残る父親は妻に言う、「ここにいないか?」。
妻は言う、「私はこんな静かなところではだめ。ネオンがなければ」そして静かに笑う。
「東京に出てきたら、声をかけてね。私もたまにはここに来ようかしら」。

この二人はたぶん、これからもそれぞれ一人で生きていくのだろうが、それでも、夫は「東京に来たら声をかけてね」という言葉を支えとし、妻はいつでも寄れる場所があることを心の拠り所にしていくのかなという関係が、いいのかなと思う。



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