2022年2月26日土曜日

精米

農業で生計を立てていた時、主食の米は他給自足だった。

それというのも、稲作は自分ではやっていなかったのだが、地区の農家は全てお米を作っていて、所謂お裾分けという奴で、お米を購入する必要は全くなかったのだ。

話は逸れるが、一見貧し気に思える中山間地の小規模な農家は、世界的食糧危機が来ても絶対に死なない。
主食も副食も完全自給できており、山菜もただで取り放題(場所はなかなか教えてくれない)だ。
もちろん、牡丹(猪肉)や紅葉(鹿肉)もふんだんにある。

で、頂くのは全て新米の玄米で、精米の必要があった。
今でこそ家庭用の精米機が売られている時代になったが、田舎暮らしを始めた当初、至る所にコイン精米機があって、こんなもの誰が使うのかなと思ったが、自分だけが使ったことが無いだけで、農家は全員使うのであった。

例えば昭和のモノクロの映像とかで、酒瓶などに玄米を入れて棒で突っつきながらの瓶搗き精米だとか、山間の里を訪ねた時に見た水車小屋のシーソーのような仕掛けとかを漫然と眺めていた記憶があるだけで、籾摺りや精米といった工程をさほど意識しないまま、米=白米と思っていたフシがある。

仕事柄、関わっている子ども達に善意の寄付をたくさんいただくのだが、その中でお米はとてもありがたいもののうちの一つだ。
現在米屋での流通は30kg入り袋での取引が行われていて、30kgx2袋で1俵ということになる。
それでいただくのは、玄米で30kgという形も多く、ここにきて再び精米機のお世話になるようになったという次第である。

ただ都市近郊野菜の産地でもあり、筑後平野という米作の地域でもある割には、特に市街地中心部においては、コイン精米機は意外と少ない。
福岡市内とかはどういう状況になっているのだろうか。
ともあれ、精米したてのお米を食することができる子ども達は、ある意味幸せといえるだろう。

お米は収穫された時は籾、それを籾摺りすることで玄米となり、玄米から米ぬかと胚芽を取り除くことを精米という。
どういう仕組みで白米になるのかというと、通常は羽根の付いた攪拌棒がプロペラのように回転し、玄米同士が摩擦によって擦れ合い、お米の表面を削り取ることによって精米する構造になっているとの事、確かに精米したてのお米は少し熱を持っている。

ただ精米によって甘さと美味しさとの引き換えに、ビタミンE・B1・食物繊維・カルシウム・鉄分などの多くの栄養素が取り除かれるというのも勿体無い話だ。
昔小学校の身体検査の時、ゴム製のハンマーで膝の頭を叩かれ、脚がピクッと反応しないと脚気の疑いがあるとされたのは、白米ばかりを食べることによるビタミンB1の欠乏症だったのだ。

玄米での保管の方が米の老化(酸化)を防ぎ、栄養を抜けにくくしてくれる。
自分のためだけの精米ならちょっと面倒臭い気もするが、子ども達のための1俵分の精米なら、ご老体の足腰にやや負担がかかるとしてもやる意味は大いにある。




順番待ちが必要な時もある。


「米ぼうやくん」いいネーミングだ。






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