2021年9月9日木曜日

サイロ

久しぶりファーマータナカの新農業講座たぶん第20回。

昨日「草刈」について投稿したら、馬鹿友である駄洒落T氏をはじめ、冗談とも本気ともつかない反響や質問が寄せられ、農業新時代到来の予感にインスパイアされたので、ここに再び開講を宣言するものである。

①所々で見かけるバウムクーヘンの様な白いビニールでグルグル巻きにした物は何?

ロールベールラップサイロという。
・bale【可算名詞】(船積用商品の)梱(こり)、俵    
          【他動詞】〈…を〉梱包(こんぽう)する
・baler【可算名詞 】ベーラー、 わら等を束ねる農機
ラップをしていない裸の俵状の草の塊を見かけることもあると思うが、牧草を刈り取って乾燥させ、ロールベーラーという農業機械でロール状に束ね縛ったもの(ラップはしない)をロールベールという。
昔は、ベーラー(×ロールベーラー)で直方(ちょくほう)体に成型圧縮した乾草が主流だったが、農業や農機具の大型化や省力化の流れによりロールベールが主流になっているようだが、実際はロールベーラーは飼養頭数200頭以上が適正規模といわれ、小規模経営の日本型農業においては、投資効率において全く採算に合わないハズだ。
サイロについては、②で。

②サイロに運んで発酵飼料にするとどう変わるの?
・silo【可算名詞】サイロ 、穀物などを貯蔵するための塔状建築物または地下室
サイロと言えばやはり北海道のイメージだろう。穀物や飼料用生草類の貯蔵施設で、酪農において生草を乳酸発酵させ、サイレージを調整し、貯蔵する施設である。
上記①のロールベールをラップで密閉することにより、個別小型のサイロを作っているわけだ。
生野菜がそうであるように、植物は収穫直後が一番栄養価が高い。
農業とは棚田に代表されるように、水と緑の景観が如何にも自然であるような錯覚に陥るが、「業」と名の付く通り、極めて不自然な人工的なものである。
野性の動物が、生えた草のまま、あるいは成った実のまま食むのが自然というものだ。
それを人間様が自己都合で一年中野菜や果物や穀類や牛乳や肉を食いたいと欲望したのである。
植物は収穫後放置すれば早晩腐敗するし、季節の変化により温度や日照が不足するため通年では収穫できない。
そこで、腐敗の原因のひとつである水分を飛ばし、乾燥させることで保存して通年給餌しようと考えた。
しかし乾燥することで栄養価は極端に低下するのである。そこで生草と乾草の中間的存在、サイレージの登場となる。
サイレージとは、嫌気性菌による発酵により乳酸や酢酸などの有機酸の成分比率を増やし、pHが低くなることにより、牧草の腐敗の原因となるカビや好気性菌類の活動を抑え長期保存を可能にしたものをいう。
ここでは気密性と水分量とpHが極めて重要なファクターになり、そのために調製に多大な労力を必要とするのだが、その点については長くなるので別稿に譲るとする。


筑後川流域で見かけたロールベール。


夏の農作業は、長い冬のための乾草調製と、2基のサイロに、グラスサイレージとコーンサイレージの調製貯蔵作業で超多忙だった。

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