耳納連山
筑後再発見シリーズ「耳納連山」。
週に何度か、この道を走るたびに耳納連山を見上げる。
明星山、高良山、グライダー山――。
歩いた尾根や立ち止まった景色が、霧の向こうから静かによみがえる。
同時に、豪雨で山肌が崩れ、田畑が水にのみ込まれた光景も忘れることはできない。
自然は恵みを与えるだけでなく、ときに人の暮らしを容赦なく試す存在でもある。
それでも梅雨の雨は、すべてが災いではない。
雲が切れると、水を張った田んぼは空を映し、若い稲は雨粒をまとっていっそう鮮やかな緑を放つ。
霧に霞む山々も、どこか呼吸を整えているように見える。
山は黙ってそこにあり、田は黙って季節を受け入れる。
そして人は、その間で今日も田を耕し、道を走り、暮らしをつないでいく。
雨を恐れ、雨に感謝しながら。





