櫨蝋
路傍ウォッチング「櫨(はぜ)」。
陣屋川沿いを歩くと、目に留まるのは実の房をたわわに付けた櫨の巨木たち。
緑葉の中に所々、紅色の萌えが見え始め、老木達は「もうすぐ風色が変わるよ」と囁いている。
近くには有名な「柳坂曽根の櫨並木」がある。
それはそれで圧巻なのだけれど、ここは、景観を愛でるというより、櫨蝋の歴史と灯りの哲学をふと感じた。
この辺りには、かつて櫨が栽培され、木蝋(もくろう)と呼ばれる植物性の蝋の原料として使われていた歴史があり、室町時代から蝋燭の材料としての記録もあって、江戸時代には西日本で櫨栽培と木蝋製造が盛んになったと言われていて、景観だけでなく暮らしを支える産物でもあったのだ。
葉のグラデーションは、蝋燭の灯りにも似ている。
その灯りはただ暗闇を照らすためだけでなく、過去の記憶を優しく包み、今を語らず、未来をほのかに照らす案内人。
たまにはひとり蝋燭を灯してみるのもいいだろう。
気持ちはもうポエット(=poet、ポエマー=poemerは和製英語だって!)だ w











